十五年越しの殺意(外村駒也)完 ページ:8 「警部、大変です。今すぐ一緒に東京に戻りましょう。」 武井が七尾署に戻ると、小川が車の扉を開けて待っていた。だいぶ切羽詰った様子である。 武井は、車に飛び乗ると小川に事情を聞いた。 「いったいどうしたんだい、ガワさん。何か事件でもあったのか。」 「まさにそれです。奥多摩の山中の小屋で、死体が発見されたそうです。それがどうも、行方不明になっていた中田と同一人物らしいのです。」 「本当なのか。」 「恐らくはそうだろうということです。神奈川県警からは、原口警部と鈴木刑事の二人が、既に現場に向かっています。」 「中田が真犯人で、復讐が終結したから自殺をした、ということはないのか。」 「話によると、遺書らしきものは見つかってない上、近藤夫妻のときと同様に、惨殺死体だということです。」 「そうか。どうも犯人に先回りされているようで癪だな。」 と、武井は呟いた。 [*前へ][次へ#] [戻る] |