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十五年越しの殺意(外村駒也)完
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 医科大病院に着くと、武井は真っ先に、家族との面会をした。近藤悠太の弟だという人は、だいぶやつれている様に見えた。
「初めまして。警視庁捜査一課の武井と申します。」
「こんにちは。近藤悠太の弟の、航太です。」
「今回は、私たち警察の力不足で、事件を未然に防げず、本当に申し訳ございませんでした。」
 と、武井は頭を下げて言った。
「わざわざすみません。どうか、兄貴夫婦の為にも、犯人を早く捕まえてください。お願いします。」
「はい。全力を尽くしていく心算です。ところで、近藤さん。あなたは、夫妻が何者かに狙われているといった話を聞いたことはありますか。例えば、誰かに恨まれているとか。」
「いいえ。残念ながら、今の所は記憶にはありませんね。」
「そうですか。もし何か分かったら、すぐに教えて下さると助かります。」
 武井はそう言って、携帯電話の番号を書き留めた紙を手渡した。
「近藤さんは、これからどうなさるお心算ですか。」
「そうですね、一応今日は用意されたホテルに泊まって、明日に二人を引き取って、横浜に戻ります。向こうで葬式を挙げたいと思います。」
「わかりました。どうもありがとうございます。」

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