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十五年越しの殺意(外村駒也)完
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「……うっ。や、止めてくれ。頼む。お願いだ。許してくれ。俺はただ……」
 暗い部屋の中に、二人の男がいる。床に倒れた一人が必死に懇願する声が響いている。
「なぜ、お前の願いを聞く必要があるんだ。俺がお前を許すとでも思っているのか。お前は殺されて当然なんだよ。」
 もう一方の男が冷たい声で言い放った。
「……た、頼む。お前の言う通りにやってきたじゃないか。それで勘弁してくれ。お願いだ。」
「いくら言っても無駄だよ。お前は俺の妹を見殺しにしたんだ。実際に殺った松田と同罪だ。いや、それ以上なんだよ。」
「……松田が殺ったと言う証拠だってないじゃないか。第一、俺はその場にいなかった。」
「嘘を言う必要はない。近藤たちから聞いたんだよ。彼らも傍から見ていたんだろう。真実を聞いてから殺してやったよ。」
「……だから、その償いに、お前の言いなりになってきたじゃないか。それでも……」
「許さないと言っただろう。」
 不意に、声が大きくなった。
「いいか。お前は既に用済みだ。俺の復讐もそろそろ終わる。お前を残したら、復讐とは言えないんだよ。」
「……頼む、許してくれ。一生お前の奴隷になってもいい。だから……」
「未練がましいな。お前は妹を殺めた。だから殺される。それだけのことじゃないか。」
「……もういいだろ、四人も殺したんだから。俺を許してくれたって……」
「駄目だ。あれに関わった六人は何があっても殺すと決めて、この15年間を生きてきたんだ。本当は、警察が何とかすることを期待していた。しかし、この6月でもう時効だ。だから、俺の手で妹を弔ってやるんだよ。お前たちを殺してな。」
「……い、嫌だ。俺はまだ死にたくない。た、助け……」
「……死ね。」
 暗い部屋の中に、断末魔の叫び声がこだました。
 ぐしゃっ、という内臓が潰れる音が何度も繰り返された。
 血飛沫が部屋を真紅に染める。
 床に横たわっていた男はとうに息絶えている。しかし、もう一人の男は、血が流れ出るのを平然と眺めていた。
 最後に男は、胸から拳銃を取り出し、既に死体となった男の頭に、弾が尽きるまで撃ち込んだ。
 そして、脳漿と血と骨片が撒き散らされるのを見て、薄ら笑いを浮かべながら部屋を出て行った。

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