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十五年越しの殺意(外村駒也)完
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「それで5時からということだったそうなのですが、5時10分ごろに停電が起こって、その見回りのために各部屋を回ったところ発見されたそうです。」
 と、鈴木刑事が説明した。
「発見者は誰だい。」
「それが良くわからないんです。こちらへ来て聞いたところ、もうみんなが事件のあったことを知っていたのですが、誰が最初の発見者かはわからないということで……。」
「それは臭いな。何かあるかも知れん。一応、今日来ていた人を洗い出して、徹底的に調べる必要がありそうだな。」
 捜査本部は、その日のうちに、横浜署に置かれることになった。
「まず、この事件の解明のために、今日の同窓会に来ていた人を、全員調べろ。もちろん、被害者との関係とアリバイもだ。従業員などの証言も明日から聞き込みを開始する。ん、どうした、元西。」
「警部、被害者の松田についてですが、東京都在住ということですので、警視庁のほうにも協力の要請を出すべきではないでしょうか。」
「ああ、その方がよさそうだな。わかった。明日にでも連絡してみよう。」

 その頃、栗原は横浜スタジアムを出て、中華街へと向かっていた。試合中、彼は、死体が発見されたかが気になって、頻繁に携帯のニュース速報に目を通していた。丁度6時の速報で、事件が起こったことについて述べられていたが、犯人については不明とされていたのを知り、幾分か安堵していた。それとともに、自分のアリバイ作りがばれないよう、他人の目に怯えてもいた。
 石川町駅で改札を出てすぐのことだった。栗原は、いきなり後頭部を強打された。意識がおぼろげになっていく中で、彼の目には、どこかで見たことのある二人の顔が見えた。


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