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十五年越しの殺意(外村駒也)完
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 武井と小川の二人は、現場の能登島へ向かう前に、捜査本部が設置されている七尾署に足を運んだ。大倉警部補に挨拶をするためである。
 JR七尾駅には、12時を少し回った頃に着いた。
 初めはただの捜査協力の為に置かれた本部だが、管轄区域における殺人事件にまで発展したこともあって、捜査本部の規模は比較的大きくなっていた。
「こんにちは。警視庁捜査一課の武井と小川です。大倉警部補はいらっしゃいますか。」
 奥の方で返事が聞こえ、少しして大倉が出てきた。
「こんにちは。私が大倉です。一度お電話でお話させて頂きましたが、お会いするのは初めてですね。よろしくお願い致します。」
 武井は少し戸惑っていた。吉岡たちの話だと、彼はだいぶ無愛想な人だということだった筈である。
 横を向くと、小川も同じ事を考えているらしかった。やや目を丸くしている。
「どうぞこちらへお掛けください。今、お茶を持って来ますので。」
 大倉はそう言って、奥の方へ行ってしまった。
 武井と小川は顔を見合わせて、苦笑を禁じ得なかった。
「未来の神田刑事部長かな。」
 と、武井は小声で言った。
「はい。おそらく下には厳しく、上の顔色ばかり見るような上司になりますね。」
 小川も頷いていた。
「現場の状況は酷かったのですか。」
 お茶を持って戻ってきた大倉に、武井は聞いた。
「はい。正直言って、あそこまで酷い死体を見たのは初めてでした。」
「ところで、二台の車から見つかった毛髪の鑑定結果をまだ聞いていなかったと思うのですが。」
 と、小川が不意に言った。
「あ、はい。確か、5人分の毛髪が発見されて、そのうち二人は、近藤夫妻と断定しました。ただ、残りの三人が誰なのかということは、まだはっきりしていません。前科者のものとは一致しませんでした。」
「そうですか。残り三人ですね。できたら後で、そのデータだけ貰えませんか。警視庁側でも是非調べてみたいと思います。」
「分かりました。もちろん構いませんよ。」
「今、吉岡君たちはどうしていますか。」
 武井は思い出したように言った。
「おそらく、現場の能登島の方にいると思います。今から一緒に行きましょうか。」
「はい。お願いします。」

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