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十五年越しの殺意(外村駒也)完
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 武井は、神田刑事部長と福田捜査一課長に、捜査方針の変更を伝えているところだ。
「それで、県警を辞めた元西君が、その情報を持ってきたというのかね。」
 神田はやはり不機嫌である。
「はい、そういうことになります。」
「しかし、武井君。これで捜査方針を変えたら、警視庁が神奈川県警に反対しているということになるじゃないか。」
「確かに、そうかも知れません。しかし、現段階ではもっとも可能性の高い動機ですし、疑ってかからないと、捜査は一向に進みません。」
 と、武井は反論した。
「合同捜査になる前から、私は君に、県警に変に首を突っ込むなといってあったじゃないか。私は賛成しかねるよ。」
 相変わらずだな、と武井は思った。上に睨まれたくないという思惑がひしひしと伝わってくる。武井は内心、かなり参ったなと感じた。
「私は、武井君に賛成しますよ。確かに、彼の言うことに一理あると思います。それと、部長ももう少し部下を信用なさった方がよろしいでしょう。武井君は優秀ですから、必ず事件を解決してくれます。」
 福田が助け舟を出してくれた。
「うーん、この件は、私と福田君とでもう少し話し合ってから決めよう。だから、もう少しだけ、動くのを待ちなさい。」
「分かりました。」
 武井と福田は一緒に部屋を出た。
「部長には、私が何とか説明をつけて、納得させるから、もう方針を変えて捜査を再開しなさい。いつもの事だから。」
 と、福田は武井に言った。確かに、福田なら何とかしてくれるだろうと、武井は思った。

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あきゅろす。
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