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十五年越しの殺意(外村駒也)完
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 横浜のスカイビルの前には、警察の車両が集まっていた。現場検証には、神奈川県警の原口警部と鈴木刑事が向かった。
「まず、仏さんを見せてもらおうか。」
 原口は、現場に検死に来ていた高橋に言った。
「ああ、良いよ。仏さんは、東京都墨田区在住の、松田隆文。30歳。N商事の重役だそうだ。死亡時刻は、詳しく検死解剖してみないと分からないが、午後5時前後じゃないかな。」
 高橋は、仏さんの上にかけた白い布をとりながら言った。
「死因は、見たところは出血多量だが、詳しいことは言えないな。」
「ずいぶんひどい死に方だな。血だらけだ。出所は…背中にナイフか、よくあるパターンだが。」
「しかし、例えばの話だが、もしかしたら犯人は、毒殺後にナイフを刺しておいたかもしれないから、今は決め付けるべきではない。お前も分かっているだろうが。」
 と、高橋は言った。
「だが、県警側としては、ある程度の方針も欲しいんでね。そのほうが捜査本部を設置したときに滞りがない。」
 と、原口警部は言った。
「まあ、今から大学病院に運ぶから、遅くとも来週には結果を伝えるよ。」
「ああ、ありがとう。ただ、もう少し待ってくれ。」
 そう言って、原口は現場の状況と事情聴取を始めた。
「なあ、鈴木。この松田、って人は、東京都在住だが、どうしてここに来ていたかは、知っているのかい。」
「はい。どうやら今日はここで、横浜市立宮田中学校の同窓会が開かれる予定だったそうです。」
「同窓会か。」


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