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十五年越しの殺意(外村駒也)完
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「参ったね、ガワさん。石川県に二人を送り込んだ迄は良いが、向こうも壁が立ちはだかっているみたいだよ。」
 武井は電話を切ると、そう言った。
「そうですね。だいぶ難しい事件になりそうです。迷宮入りしないと良いのですが……。」
「おや。ガワさんにしては珍しく弱気じゃないか。いつもなら、何とか解決してみせますよ、とでも言うのに。」
「そうなんですが、ここまで広範囲に広がると、なんとなく嫌な予感がしてしまいます。」
 それは、武井も感じていた事だった。いつだったか、彼が担当した事件ではなかったのだが、幾つもの県に跨った事件があって、結局解決出来なかったことがあった。今回がそれに当たらないことを、武井は祈っていた。
 丁度その時、武井の携帯電話が鳴った。神奈川県警の元西からだった。
「もしもし、元西君か。一体どうしたんだい。」
「実は、警部と、小川さんにだけ話したいことがあるのですが……。」
 と、元西は電話の向こうで言った。
「そうか、構わないよ。こっちに来るのかい。」
「できれば、今から下のカフェで会いたいのですが。」
「もう下にいるのか。分かった、5分後に行くよ。」
「ありがとうございます。」

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