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十五年越しの殺意(外村駒也)完
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 警視庁の吉岡と岡部は、和倉温泉付近での聞き込みを続けていた。しかし、予想していた以上に、捜査は難航していた。壁にぶち当たったのである。付近で2台のライトバンが揃って止まっているのを見たという人は、なかなか現れなかった。
「……まったく、こんな筈は無いんだが。」
「ええ。人気が少ないから、なおさら目に付くと思ったけど。」
「発見されたのは、午前5時ぐらいだったから、夜中に来たとなると、見られなかったのは仕方が無いかもしれないな。」
「しかし、そうなると車が撒かれたのが前日の午後6時ぐらいだとして、およそ半日の間、一体どこにいたのかということになりますわ。」
 と、吉岡は言った。
「どうやら、大倉警部補にも頼んで、もう少し人数と範囲を広げて、県道1号線沿いの聞き込みをした方が良いかもしれないな。」
 吉岡と岡部は、七尾署へと戻ると、大倉警部補は他の事件の対応を迫られて、外出中だった。
 二人は仕方なく、警視庁のほうに、状況報告の電話を入れた。
「もしもし、捜査一課の吉岡です。武井警部ですか。」
「ああ、そうだ。どうだね、捜査の調子の方は。」
「それが、目撃者が今のところ一人も見つかっていない状況です。人気が少ないところへ夜中に来たと考えると仕方ないかもしれませんが。」
 と、吉岡は答えた。
「そうか。こっちも流石に一日では進展が無くてね。参ったものだな。仕事を増やすようだが、近藤夫妻の顔写真を持参してもらったと思うが、向こうでの聞きこみもお願いしてもらって良いかな。」
「分かりました。こっちの大倉警部補はあまり協力的ではないのですが、できればお願いしてみたいと思います。」
 吉岡はそう言って電話を切った。

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