十五年越しの殺意(外村駒也)完
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10分ほどして、事務の人は分厚い書類を持って戻ってきた。
「なにぶん15年も前のことですので、あまり資料がありませんでした。この資料は、20年前からの事件を含めた本校における出来事について軽く記入してあるだけです。これ以外には見当たりませんでした。」
「それで、15年前には何かありましたか。」
と、元西は聞いた。
「一応、特に何も無かったようですが……。まあ、この資料に載っていることが全てでしょう。」
「この資料を持ち帰ってもよろしいでしょうか。」
「ええ……まあ……。」
「どうもありがとうございます。」
そう言うと、元西は杉山を連れて緑ヶ丘高校を出た。
「え、もういいのですか。」
杉山は驚いたようだった。あれだけこだわっていたにしては、帰るのは早すぎはしないだろうか。
「なに、もうここには用無しだろう。おそらく、何を聞いても本当のことは答えてはくれないと思う。」
「どうしてですか。」
「事務の人の態度が明らかにおかしかったからね。間違いなく知られたくないことがあったんだろう。」
と、元西は言った。
「それは、今回の一連の事件に関係しているということですか。」
「その可能性も否定できないが、何よりもきっと高校側の汚点となるようなことがあったと思う。」
「そう思いますか。」
「ああ、間違いない。とにかく、当時のことを知っていそうな人に片っ端から当たっていくしかなさそうだ。」
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