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十五年越しの殺意(外村駒也)完
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 元西は、杉山を連れて県立緑ヶ丘高校に向かっていた。
「こんな事していいのでしょうか。原口警部は、N商事の頃の松田について調べろと言っていただけですよ。」
 と、杉山は言った。
「確かにそうだ。だけど、俺はきっと高校時代に鍵があると睨んだ。どう考えてもN商事の頃は関係無さそうなんだ。」
「しかし……」
「気にするな。俺はもし警部に調べるなと言われたら刑事の職を辞するつもりだ。ここにいつも辞職願はあるしな。」
 と、元西は言った。
「それに、刑事を辞めたら私立探偵でもやってみたいと思っていたし。」
「冗談言わないでくださいよ。」
 と、杉山は言った。
「まあ、いずれ分かるさ。」
 緑ヶ丘高校は、JR山手駅から少し行った所にある。近くには、横浜国立大学の付属小学校があった。
 校舎はやや古かったが、比較的広かった。
「こんにちは。神奈川県警捜査一課の者ですが、校長先生はいらっしゃいますか。」
 と、元西は言った。
「いえ、今日は教育委員会の会議のほうに参加しておりますのでこちらにはいませんが。」
「では事務の方はどなたか……」
「はい、私が事務の受付をしております。」
「実は、15年ほど前の資料を頂けないものかと思いまして。松田隆文さんに関係するものです。」
「15年前ですか。どの時期のでしょうか。」
 と、事務の人は聞いた。
「そうですね、4月から6月にかけて何があったか知りたいのですが。」
「……4月から6月ですか。少しお待ちください。」
 事務の人が答えるまでに、一瞬の間が確かにあった。元西はそれを見逃さなかった。

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あきゅろす。
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