十五年越しの殺意(外村駒也)完 ページ:5 その頃警視庁では、身代金の運送に使用された車を、全国単位で手配したところだった。1台は石川県内に入ったところまでは、尾行で確認されているが、関越自動車道で撒かれた1台に関しては行方不明だったからである。しばらくして、案の定、石川県警から連絡が入った。電話は、武井警部の部下の、岡部刑事が受けた。 「こちらは、石川県警の大倉です。連絡が入っていました、横浜ナンバーのシルバーのライトバンが2台、石川県の和倉温泉の近くで発見されました。横浜500の37-44と、28-63ですよね。」 「はい、そうです。車内はどのような状況でしたか。」 「全くもって空っぽでしたね。指紋が残っている様子はありません。ただ、毛髪が何本か落ちていたので、鑑定にまわしています。結果が出ましたら、報告したいと思います。」 「わかりました。どうもありがとうございます。」 と、岡部は言った。 「やはり、石川県か。しかし、松田は石川県と所縁がある訳ではないしな。近藤夫妻の方はどうなのだろうか知らないか。」 と、武井は小川に聞いた。 「さあ、そこのところは調べておきましょう。しかし、近藤夫妻はいつになったら解放されるのでしょうか。もうだいぶ経っていますから。」 「今は成り行きに任せるしかない。ただ、吉岡と岡部の二人を和倉温泉に派遣するつもりだ。現地での聞き込みと、向こうの県警への挨拶をしてもらおう。」 「私は行かなくてもいいのですか。」 と、小川が聞いた。 「ガワさんにはいろいろ手伝って欲しいんでね。それに、私ひとりでは力不足かもしれないからね。」 [*前へ][次へ#] [戻る] |