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十五年越しの殺意(外村駒也)完
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 午後2時半を過ぎたあたりから、県警も警視庁もほぼ、3時へ向けてのカウントダウンに入ったといっても良さそうな状況になっていた。どちらの捜査本部も、落ち着かない様子で、ピリピリした空気が漂っていた。
 警視庁では、武井警部と小川刑事が神田刑事部長に呼び出されていた。
「今回の身代金に関しては、犯人逮捕の勝算はあるのか。」
 と、神田部長は聞いた。
「ほとんど無いと言って良いと思います。」
「何だ、無いのか。」
「はい。犯人グループの人数も分からない上、強いて言えば、5千万円を払ったところで人質が解放される保証もありません。何しろ電話では、人質解放については一言も無かったですから。」
 と、武井は言った。
「そんなんじゃあ向こうの言いなりじゃないか。何とかならないのかね。」
「難しいと思います。とにかく、3時の電話を待って相手の出方を見るしかありません。」
「仕方ないな。まあ、人質が死にさえしなければ、どんな手段も使って良いから頑張りなさい。」
 と、神田部長は言った。

 3時きっかりに、県警の電話が鳴った。
「5千万円は用意できたか。」
「ああ。だが、どうやって渡せば良い。」
「それを今から指示する。まず、ボストンバッグに全額をつめて、一階に降りろ。そこにシルバーのライトバンが止まっているはずだ。その後部座席に入れておけ。運転手に下手なことをしたら、人質を即刻殺すからな。発信機を仕込んでもだめだぞ。10分以内に済ませろ。以上だ。」
 電話はそこで一方的に切られた。


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あきゅろす。
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