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十五年越しの殺意(外村駒也)完
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 栗原が釈放されてから、およそ1時間経った頃だろうか。原口の電話がいきなり鳴った。
「県警の原口警部だな。」
 と、電話の主は言った。
「そうだが、君は一体誰だね。」
 原口の質問には答えず、相手は続けた。
「先ほど、近藤恭子を拉致監禁した。一つ教えてやるが、近藤は15年前の市立宮田中の卒業生だぜ。それでだ、要求は身代金を5千万円だ。午後3時までに用意しておけ。受け渡し方法についてはその時に連絡する。下手なことをすると殺すからな。」
「もう一回言ってくれ、何時までだ。」
「……」
 原口は呼びかけたが応答は無かった。
「どこから掛けてきたかわかるかい。」
 と、原口は鈴木に聞いた。
「近くの公衆電話からです。さすがに足がつくので、携帯電話は使っていませんね。」
「声はどうだい。やはり変声機を使っているか。」
「はい。たぶん使われていると思います。」
 と、鈴木が答えた。
 県警の横浜署に、対策本部が早急に設置された。
「今回の電話は誰からでしょうかね。」
 と、鈴木が聞いた。
「今ははっきりしていない。ただ、栗原かもしれないと思っている。きっと、腹いせに証拠隠滅でも図ったのだろう。けしからん、必ず尻尾をつかんでやる。」
 と、原口は意気込んで言った。
「しかし、警部。一つ疑問があるのですが……。」
「一体何だね。」
「どうして犯人は、警察側に掛けて来たのでしょうか。同窓会のメンバーを確認しましたが、近藤恭子には、先日結婚したばかりの夫がいるんです。身代金なら、普通は身内に請求した方が確率は高いはずではないでしょうか。」
「確かにそうだな。どうもよく分からんなあ。」
「とにかく、一応警視庁側にも伝えておきます。」
 と、鈴木は言った。


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あきゅろす。
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