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十五年越しの殺意(外村駒也)完
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 県警側では、勾留期限の2日間を過ぎたため、栗原を釈放することが決まった。県警としては幸いなことに、栗原の送検が決まらなかったために、犯人逮捕の記者会見は行われていなかった。もし行われていたとしたら、現在は下火になっている、警察権力に対する批判などが相次いだであろう。特に今回のような誤認逮捕に関しては、市民の目には厳しいものがある。しかし、県警の原口警部を含め、上層部では、未だに栗原犯人説を捨てきれない風であった。
「やっと釈放ですか。僕が松田を殺してないことが証明されたんですね。」
 と、栗原は言った。
「いや、私はまだ君が犯人だと思っている。今回は、勾留期限までに完璧な情報が入らなかったために、やむを得ず釈放するだけだ。証拠が見つかれば、いつだって再逮捕するつもりだ。間違えても証拠隠滅を図って、また人を殺すなよ。そのときは容赦しない。いつだってお前に目を光らせているからな。覚悟しておけよ。」
 と、原口は吐き捨てるように言った。


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あきゅろす。
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