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十五年越しの殺意(外村駒也)完
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「また部長はそんなことを言ったんですか。本当に困りますね。」
「なあに、いつものことだよ、ガワさん。いつも部長は上に睨まれたくないと思っているだけなんだから。」
「しかし、それは私たちにとって見ればずいぶんな足枷になっていますからね。」
 と、小川は言った。
「まあ、捜査の方に口を出されてないだけまだ良いよ。もし有名人が絡んできたとなると、捜査から手を引けとまで部長は言うからね。」
 と、武井は呆れたように言った。その時、二人がいる部屋へ、捜査一課の吉岡刑事が駆け込んできた。
「大変です。県警側から連絡があったんですが、スカイビルでの事件当日に同窓会の幹事をしていた中田俊が行方不明になっているとのことです。間違いなく関連のある事件です。」
 と、吉岡は言った。
「もう少し詳しく説明してくれ。」
「それが、中田の家族の方が、彼の自宅へ何度電話しても出ないので、不審に思って家のほうへ行ったところ部屋が荒らされていたとの事です。」
「単に散らかっていただけということはないのか。」
 と、小川が口を挟んだ。
「いえ。詳しいことは分からないのですが、彼は頻繁に家族と連絡を取っていたらしいのです。それが、一週間近く連絡がなかったということですし、彼は部屋を散らかすようなことは滅多に無い人だということです。」
 と、吉岡は言った。
「とにかく、これは大変なことになったぞ。県警側も、栗原を釈放しなければならないだろう。複雑な事件になりそうだな。」
 と、武井は頭を抱えて言った。


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