十五年越しの殺意(外村駒也)完 ページ:9 「しかし、警部。よかったですね。事件が解決して、何事も丸く治まって。」 「何を言っているんだ、ガワさん。6人も殺されてしまったじゃないか。」 「確かにそうですけど、栗原の殺害は未然に防げましたし、元西さんもちゃんと快復したじゃないですか。」 と、小川は言った。 鈴木が逮捕されて、県警の方針が間違っていたと知るや否や、原口警部は元西を呼び戻し、さらに警部補に昇進させようとしたのである。 だが、結果として、元西は原口の要求を断り、私立探偵として自立していくことを決めていた。 「それに、もう一つめでたいことがあったじゃないですか。」 「何だね。私は聞いていないが。」 「県警の杉山刑事ですよ。来月に元西さんと結婚すると言っていましたよ。」 「そんなことは聞いていないぞ。」 と、武井は目を丸くした。 「だがそれは確かにめでたい……」 「警部、事件が起こりました。世田谷で一家4人が死体で発見されたそうです。」 会話の最中に、吉岡が駆け込んできた。 「分かった。今、行くよ。」 と、武井は苦笑いして、部屋を出た。 「新しい事件か。そう簡単に、平和になってはくれないみたいだね、ガワさん。」 [*前へ] [戻る] |