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十五年越しの殺意(外村駒也)完
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 2,3分ほどして、校長は戻ってきた。
「校長先生は、長年ここに勤めていらっしゃるのですか。」
 と、杉山刑事が聞いた。
「え、なぜですか。」
「いえ、先ほど、松田さんのことをすばらしい生徒だったとおっしゃったものですから。」
「そうですね。13年前までここに一介の教師として勤めていましたね。それから他の学校を回って、幸運にも3年前に校長としてこの中学に戻って来ました。」
 と、校長は答えた。
「15年前当時の松田さんについての印象って何かありますか。性格でも何でもいいですが。」
 今度は元西刑事が質問した。
「うーん、とにかく頭は飛びぬけて良かったですね。頭脳明晰でした。責任感も強かったです。ただ、普段は落ち着いているのですが、気に入らないことがあってカッとすると、すぐに手が出てしまう性格だったと思います。」
「誰かと大喧嘩したというようなことはないですか。」
「あまりよく覚えてないですね。うーん。栗原君とだったかな。派手にやり合って、栗原君のほうが全治一ヶ月の骨折になったような気がするんですが。」
 元西と杉山は、驚いて顔を見合わせてしまった。
「それは本当ですか。」
「本当かと言われると少し自信がありませんね。何しろ、15年以上も前のことですから。しかし、私の記憶が正しければ、彼らが2年生のときに確かに大喧嘩をしたはずですよ。」
「栗原さんがかかった病院はどちらかご存知ですか。」
 と、元西は聞いた。
「いやあ、さすがにそこまでは覚えてないですね。すみません、お役に立てなくて。」
「いえ、十分役に立ちましたよ。今日はどうもありがとうございました。」
 元西と杉山は、礼を言って宮田中を後にした。
「かなりの収穫があったな。」
 車の中で、元西が言った。
「ええ、そうですね。まさか、栗原と松田が中学時代に大喧嘩をしていたなんて。動機と考えられなくもないですね、1ヶ月の骨折ともなると。」
「ああ。ただ、喧嘩の理由も知っておく必要があるな。とにかく、何人かの同窓生にも当たってみよう。」


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