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十五年越しの殺意(外村駒也)完
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 松田隆文についての報告書は次のように書かれていた。
松田隆文 30歳 神奈川県出身
  1974年8月16日生まれ
  1981〜87年 横浜市立峰小学校
  1987〜90年 横浜市立宮田中学校
  1990年4〜6月 神奈川県立緑ヶ丘高校
  1990年6月〜93年 都立日比谷高校
  1993〜97年 東京大学経済学部
  1997年〜 N商事
   日比谷高校への転校に関してだが、理由は親の転勤となっている。N商事では、出世街道をひたすら進み、昨年の秋に中央管理部総務課課長に抜擢された。社内において、特に問題が起こったことはない。
「これを見てどう思うかい、元西。」
と、原口は言った。
「どうって、僕と違って、すばらしいエリートだと思いますよ。」
「日比谷高校への転校が怪しいですね。」
 横から鈴木刑事が口を挟んできた。
「いくら転勤とは言っても、6月の半端な時期にうまくあるとは思えません。依願転勤といった形をとったと考えられなくもないです。息子の隆文が、高校で問題を起こしたので、あえて閑職への異動をお願いしたかもしれません。」
「ああ、俺も初めはそう思ったんだが、どうも閑職へではなく、単に昇進しての異動らしい。となると、やはりN商事の時の彼をより深く調べる必要がありそうだ。きっとそこに、栗原と松田の接点があるはずだ。複数の同窓生の証言から、栗原を犯人と見て勾留の許可を得ているが、この2日の間に殺害の動機や物的証拠などを挙げろ。殺害現場の目撃などもないか徹底的に調べ上げるんだ。とにかく検察側に送検出来るようにしろ。いいな。」


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