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残る爪痕 血脈の果て (薩摩和菓子)完
「戦果」
結局、アラシュは最初にリョコウトカゲに乗せられ、槍を使う事の意義を証明する羽目になった。とは言え、自分の提案には自信があり、実戦でもその有用性は証明された。傭兵部隊は空中砲台を三分で全て撃墜させ、それに詰まれていた爆弾で下を通っていた帝国艦隊に多大な被害をもたらした。防衛戦がネーズル、トスキール側の圧勝に終わった事を上空で確認すると、トルカセニレに着陸する。既に着陸していた傭兵が、トスキール公王から称賛の言葉を貰っていた。
「君たちのおかげで、見ての通りコルトは無事だ。それにしても、見事な戦いぶりだった」
 光栄な事にも拘らず、その傭兵はかなり不躾に返答した。
「いえいえ、ノメイルの傭兵たるもの、任務の完全な遂行は絶対です。これからも有事にはノメイルの傭兵部隊を贔屓にしてください」
公王は気分を害するかと思ったが、その様子は見られない。身分相応に心の広いお方なのか、その顔には晴れたように明るい笑みを浮かべていた。

翌週、私はオドグにネーズル内で家を借りたいので良い物件は無いかと訊いた。仕事は全てノメイル国外で受けるとしても、そのブランクに仕事を待つ為には家が必要だった。個人的な依頼だから断られても仕方が無いと思っていたが、彼は快く今は使われていない公務員宅を紹介してくれた。
ソマン海峡に面した、手狭いながらも住み心地の良い家だった。

二年後、その家で人生最後の依頼を受け取った。

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あきゅろす。
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