[携帯モード] [URL送信]

残る爪痕 血脈の果て (薩摩和菓子)完
「奮起」 遠征三日目 午後十一時二十五分 ダクラ 
「総員。手を休めずに聞け。この部隊は、これから撤退することになった。理由は、」言葉を探しているようでもある。「これ以上トース内部に侵攻しても、任務を遂行出来るだけの人員が残る可能性は先ず、無いからだ」
全ての隊員が分かっていたことだが、改めて言葉にされ、部隊全体に様々な種類の動揺が走る。
部隊撤退が許可されたことへの安堵。
ガゼルと長時間対峙しなければならないという不安。
生きて帰れる保証が無いことへの恐怖。
「だがな。実戦経験者こそ少ないものの、この部隊にいる者は全て精鋭ばかりだ」
部隊が静まる。
「不可能を可能にしようという意思さえあれば、道はそこにある」
この言葉に、たとえ仮初めでも、勇気付けられたのだろう。大声は出せないながら、自らを奮起しようとする隊員等の声が聞えた。
「ノメイル人としての誇りは、ガゼルであろうとも倒すことは出来ない」「ノメイル、万歳」「ノメイルに敵無し」
隊員の士気が高まったところで、ヤトエリアスは追加の指示を出した。
「テント輸送班がテントの幕を回収すると同時に、全隊員は帰路へと向かう」
その後、隊長の掛け声で骨組みを覆っていた幕は一気に翻され、部隊は出発した。

[*前へ][次へ#]

17/25ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!