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残る爪痕 血脈の果て (薩摩和菓子)完
「解放」 遠征三日目 午後十一時三十二分 ダクラ
分かってはいた。アラシュであろうとも、自分がガゼルであることを知れば、自分を避けることを。ただ、仕方なかった。ガゼルであることを隠したままでは全力で戦えないから。
身軽になる為に、鎧を外す。
自分はガゼルの中でもトップクラスの身体能力と五感を有する王族の末裔だった。王族は力に制限を掛かっている間、瞳の色を黒色に見せることが出来、身体や神経への負荷も少ない。今までガゼルであることを見破られるのを恐れて、力を解放しないで来た。
ちらりと開放時間について思い出す。トース脱出までが一時間半。そして、今までそれ程の長時間、解放状態を維持した王族は、いない。それより短時間の開放で昏睡や発狂、死亡した王族は、いる。大変な危険が伴うし、自殺行為だった。怖い。自分がどこか、どこか戻ってこれない場所に行ってしまうようで、怖い。
しかし今はそれどころの問題では無い。
恐怖を無理やり抑え込み、自分は王族としての力を開放した。

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