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残る爪痕 血脈の果て (薩摩和菓子)完
「推測」 遠征三日目 午後十一時五分 ミュールド
ノース城に変な鷹が頻りに窓を叩いていると思ったら、脚にレトフランシェからの雁信が括り付けられてあった。記された日付を見ると、今日の正午とある。鳩ならソノス〜ノース間を一時間足らずで縦断出来るのだろうが、元々伝書には向かない鷹が霧に囲まれたソノス周辺で迷ったのかもしれない。
中を見る。部隊の名目変更を記した将軍の雁信が、帝国使節の放った鷹に伝書鳩ごと奪われたとの旨が記されている。奪われた雁信の数、十二。ノメイルにある州はソノス、ロルス、レクル、オルス、アルビ、ノルビ、トルビ、ライク、アノス、レイク、アンスル、トース、バースの全十三。奪われた雁信の数はノメイル内の全州からソノスを差し引いた数に等しいことになる。今朝ノース城に届けられた雁信はこれなのかもしれない。
また、部隊に同伴している監視官は二十四羽の鳩を持参しているとも書いてあった。これもソノス以外の全州の数の二倍。予備込みで持たせてあるのだろう。その監視官はカメラを持ち歩いている、とも書いてあるから、撮った写真を直接全州に送るつもりに違いない。
今朝送られてきた将軍の雁信。それに監視官の写真が加われば、必ずやノメイルに帝国の仕組んだ災難が訪れる。そして、それは全力で回避せねばならん。
急いでダクラ宛ての雁信を記す。そして我が州で最も速い鷹の脚に括り付け、放した。
一刻でも早く届くように。

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あきゅろす。
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