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残る爪痕 血脈の果て (薩摩和菓子)完
「雁信」 遠征三日目 午前八時 ミュールド
まだ陽も昇っていないというのに、伝書鳩があった。脚には見慣れぬ製法で作られた紙が括り付けられている。紙を脚から引き抜き、開く。それは二枚の文書であった。内側にあった一枚目は将軍の署名の入った雁信。内容は簡素なものである。
[三○七部隊の名目はトースの資源探索とす。部隊の状況の報告も忘れるべからず。]
部隊の通し番号から察するに、これは現在ダクラのいる部隊のヤトエリアス隊長の手に渡った雁信の写しだろう。
一枚目を捲り、外側にあった二枚目に目を通す。
こちらの方が問題だった。送り主の名が帝国使節交渉官ギロン、となっているのである。
[三○七部隊の目的がバースの資源探索であるという旨、伝わりましたでしょうか。また、この部隊について新たな情報が手に入り次第、お送りいたします。それまで、どうぞこの雁信については口外なさらないでください。もし、口外が確認されれば、帝国による正義の鉄槌が、必ずや下されることをお忘れにならずに。
追伸 これと同じ雁信は全ての州主に、本日午前一時以前に送られます。そのことを御考慮願いたい。]
次の情報が送られるまで、予断は許されそうに無かった。

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