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彼等は反逆し得るか? (kankisis) 完
呼び声
 トスキールの軍勢はレービス火山に近づいていた。火山の麓には帝国の陣地があった。
「ここだ……全てはここに……」フォルザイルは盾を持って一人呟いた。
 その時、火山の火口から何かが出て来た。それは大きく、芋虫に翼を付けたような姿をしていた。
 突然、フォルザイルは寒気を感じた。いつか感じた戦慄にそれは酷似していた。
 フォルザイルは震えおののき、盾を遂に取り落とした。それは、空を飛び、真っ直ぐこちらに向かった。禍々しき物は、耳を塞ぐことを強要する声と共に、光を放った。
「槍士隊とレヴォルトが蒸発した!」
「こんなの反則だろう!」
「乱れるな! 冷静になれ、防御陣形だ」
「砲士隊、撃て!」
「やったか!」
「撤退! 急げ、退避しろ! 逃げるんだ!」
 フォルザイルは我に返った。これだ……これを、打ち割らなければならない。
「ジルカ、マルネッへ、リブレス! 義勇軍を急がせろ! 死ぬぞ」
 気付くとそれは動きを止めていた。しかしすぐに、再び動き出した。「退がれ! 退がれ!」それは再び火山の頂に戻り、再度光を放った。熱風が吹き上げた。
「帝国軍が壊滅しただと!」パイクスタッフが叫んでいた。
 フォルザイルはどうしようもない思いで唯立っていた。「信号弾発射、ここまで誘導しろ!」公王が指示を出しているようだった。逃げてくる帝国兵を追って、それも飛んで来た。三度目の閃光が迸った。
 もう終わりかと思ったが、しかし、何かに跳ね返され、閃光は向きを変えて雲を切り裂いた。どうやら、盾が跳ね返したようだった。フォルザイルは汚らしい物に触れるような手つきで盾を再び持ち上げた。
「早く来い! 殺されるぞ」その声の主はフォルザイルを乗っていた蜥蜴に引き上げた。「お前、その盾をどこで手に入れた」
「島でさ。こんな忌々しいもの……」
「そいつは神器だ。大事にしておくんだな!」
「神器だと?」フォルザイルは眉を顰めたが、しかしどうでもいいとも思った。
 彼は公王の所に追いつくと叫んだ。「奴の体は小さな一つ一つの個体で形成されている! 体を攻撃しても意味が無いんだ。技官に聞いたんだが……どうやら、こいつらを呼び寄せる核のようなものが本体にあるらしい。そこを狙えば! ……ただし、通用するのはあいつが造られたのと同じ時代に造られた兵器、神器だけだ!」彼は黒光りのする剣をかざした。「こいつの事か!」公王も槍らしき物を掲げた。彼は槍をそれに向けて投げた。しかし突き刺さった槍をいとも簡単に引き抜き、投げ返した。パイクスタッフがそれを身で受け止め、倒れた。それは舞い上がった。

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