War Chronicle of Toskiel(紺碧の空)完 :反逆 「全弾命中! トスキール軍は脱出に成功」 「わかったから、この燃料棒引き上げるの手伝ってくれ!」 「このアプゾルートの艦長である僕が、そんなことするわけないじゃないか」 ルフトツークは淡々と言い放った。 「ふざけるな、だれが処刑されそうなとこを助けてやったと思ってるんだ」 パイクスタッフの剣幕に押されたルフトツークは、しぶしぶ一緒にロープを引っ張った。三人で力を合わせて、ゆっくりと燃料棒を引き上げてゆく。 「あと何人か連れてきても良かったんじゃないですかね」 「うるさい。今更言っても無駄だ」 ベーオウルフはロープを固定すると、機関室に飛んで行った。そもそも、三人で動かせるような代物ではないのである。 「前方のでかい港で艦隊戦をやってるようだ」 「コスクか! よし、ラインハルトの奴を助けに行くぞ!」 「後方、空中砲台!」 「味方か」 ネレイデは後ろを振り返った。まったく、今更航空支援が来て何になるというのだ。 「敵が右翼側の包囲網を突破しようとしています」 「何? まだ艦隊が残っていたのか」 爆音。巨大な水柱が上がり、二等戦艦が一隻沈没した。 「ブレヴィペス、轟沈!」 「嘘をつけ! 敵の弾がここまで届くはずがない」 船員が一斉に上を見た。何と、上空の空中砲台が爆雷を投下している。 「あの空中砲台は敵か! よし、全艦回避運動」 まさか空から攻撃を受けるなどとは思っても見なかったので、対空砲は持って来ていないのだ。 「プセウドフラガ、航行不能」 「仕方ない……本艦はここで人員の救助を行う。残りの艦隊は追撃を続けろ!」 [*前へ][次へ#] [戻る] |