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War Chronicle of Toskiel(紺碧の空)完
:火山
廃都となったイースラークを越えて元ネーズル王国のカレオロトニム地方に入る頃には、志願兵や武装組織の参入により連合軍は再び膨れ上がっていた。
「あそこに見えるのがレービス火山だ」
ハイビンダーが指差した先の山は黒煙を吹き上げていた。山の麓には、どうやら帝国軍の広大な拠点があるらしい。
「あれが、兄さんが目指した場所……」
ヴェスヴィオスは何か邪悪なものを感じた。間違いない、帝国の、いや、フューラーシャフトの企みはあそこにある。

そう、此処こそがマグニサイドの計画の真髄であった。見事に完成したそれを見て、マグニサイドが高らかに笑う。
「すばらしい! これこそフューラーシャフトの思想の体現だ!」
「司令、こいつの力は計り知れません。もっと慎重に取り扱うべきでは……」
「黙れ。そのような泣き言は許さんぞ……技術的な問題など、大きな弊害にはならん。こいつが存在するというだけでも、我々は勝利を得るのだ」
化け物の顔を見上げる。表情、というものが存在しないその顔にはマグニサイドですら嫌悪感を覚えた。
「トスキールが来る。三日以内に出陣できるようにしろ」
「ですが……!」
「二度も言わせるな」
「将軍閣下」
「おお、レヴァリーか。話は聞いたぞ。良くやったな……そうだ、その剣はお前にやろう」
「有り難うございます。で、閣下、敵の侵攻を確認しました」
「はっは、来たか! 誘い出せ、おびき出せ、奴らにこいつの力を見せつけてやる!」


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あきゅろす。
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