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War Chronicle of Toskiel(紺碧の空)完
:謀叛
「今だ、突撃!」
ラインハルト率いる部隊がコルト市内に突入すると、目前の状況に唖然とした。町の中央の大広場に人々が集められ、トスキールの防衛部隊に銃を向けられているのだ。
「我々のトルカセニレ共和国に異議を唱える者の最期を思い知るがいい。……一人ずつ撃ち殺せ」
宰相のコライン・ジネスが演壇の上で高らかに命令した。何、クーデターだと?
「あの暴君ヴェスヴィオスに加担する者は悪である! 奴はこの期に及んで戦争を続けるつもりだ。我々にこれ以上の負担をさせようと言うのである!」
集められた人々のうち一人が兵士に引きずり出された。
「お前、まだヴェスヴィオスを支持するのか?」
「ああ、そうだ! 公王陛下は俺たちの夢だ。俺たちの命を救ってくれたんだ。俺たちはトスキール人だ!」
「正義の鉄槌を下せ」
防衛部隊の兵士が長銃を構え、躊躇いも無く、引き金を引こうとしたその時だった。
「させるか!」
全速力で突撃した海兵隊が防衛部隊を突き飛ばし、ラインハルトは処刑を実行しようとした兵士に飛び蹴りを決めた。
「コライン・ジネス! 貴様の思うようにはさせんぞ」
「構うな、撃て!」
しかし防衛部隊は皆、海兵隊に取り押さえられていた。宰相は舌打ちをすると、マントを翻して逃走を図った。
「おーっと待った、そこまでだぜ」
演壇に飛び乗ったラインハルトがコラインに長銃を突きつける。コラインは固まった。
「あんたも、その、フューラー何ちゃらって奴だったのか。公王陛下を侮辱するとはいい度胸だ」
「……!」
振り返り様に短剣を突こうとしたが、ラインハルトに額を撃ち抜かれた。宰相は眼を見開いたまま、演壇に倒れた。
「国民諸君! すまない、帰りが遅くなった」
解放された市民は熱狂している。しかし、その数はトスキール国民には遥かに足りない。
「トルカセニレ共和国って奴に、賛成の人たちも多かったって事か……」
騒ぎを聞きつけて、広場の外にいた人々が集まって来た。コライン・ジネスの味方をした人々だ。ラインハルトは民衆に向き直ると、言った。
「反逆者コライン・ジネスは死んだ! こいつが皆をどんな風に誑かしたのか知らんが、こいつは帝国の内偵だ! 現に、今コルトに帝国軍の残党が紛れ込んでいる」
ざわめきが広がる。海兵隊が帝国兵を引き立てた。
「宰相がこいつらの手引きをしていたんだ。いいか、皆の居場所はこのトルカセニレじゃない。トスキールだ! 皆、家に帰るぞ!」
歓声が沸いた。こうしてコライン・ジネスとコルト町長によるトルカセニレ共和国建国の野望は潰え、艦隊は国民を乗せてコスクへと急いだ。


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あきゅろす。
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