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War Chronicle of Toskiel(紺碧の空)完
:悪夢
砂漠の夜。ネイツを解放した反帝国連合軍は一途レービスを目指し、その途中にあるイースラーク砂漠に宿営地を張っていたのであった。その宿営地の上空に、一隻の空中砲台が浮遊していた。その砲台から小さなものが投下される。これはあくまで砲台と比較して、という事であるが……。
「……!」
小さな呻き声と、殴打音が響いたが、誰一人として眼を覚ます者は無かった。大声を上げる前に、事切れてしまうのだ。それでも死に際にそれの姿を見た者がいた。ネーズル軍とそれの静かな戦いが続いた。翌朝、生き残った人々は驚愕した。
「全滅……!?」
ネーズル軍国境合同部隊が待機していたテント場は血の海だった。トリマン・エアフォルクは軍旗に串刺しになって死んでいた。
「一体、一体何があったんだ!」
「あれを見ろ」
ヴェスヴィオスが指さす先に無数の槍と剣が刺さった男が座り込んでいた。いや、刺さったというよりひっかかっていると言った感じだ。どれ一つとして、その男の皮膚を貫通してはいない。そして驚くべき事に、頭に目隠しを巻いていた。
「撃て!」
「はい? 陛下?」
「今すぐあいつを撃て! 大砲を持ってこい」
「分かりました……砲士隊、急げ!」
「奴は只者ではない……」
そいつが、もがき苦しむような声をあげた。体を動かすと剣や槍がぼろぼろと落ちた。何かを探しているかのように、むちゃくちゃに腕を振り回す。
「撃てェ!」
駆けつけた砲士たちが軽砲と弩砲を斉射した。黒煙の中、そいつは絶叫する。腕に直撃弾。しかし、そいつは体勢を立て直すと、こちらへ恐るべき速度で迫って来た。
「陛下、危ない!」
公王を庇おうと飛び出した剣士たちは皆薙ぎ倒された。中には真上へ吹き飛ばされた者もいる。
「う、撃て!」
第二射。ほぼゼロ距離で発射された砲弾が命中し、そいつは跳ね飛ばされた。頭から地面に激突し、その上に銃士隊の連射が炸裂する。暫くして硝煙が晴れると、そいつは血を流して倒れていた。
「何者なんだ、こいつ……」
動かなくなったのを確認してから公王は倒れた男に近づいた。男のまわりはその血で紅く染まっている。よく見ると、外見は至って普通で、何より恐ろしかったのは、体に弾痕が無かったのだ。そいつは頭、もとい目隠しに空いた穴から血を流している。そこ以外には傷すらついていなかったのだ。
「本当に、何者なんだ……」


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あきゅろす。
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