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War Chronicle of Toskiel(紺碧の空)完
:決裂
「休戦協定、だと?」
マジェスティスの応接室で、トスキール公国公王とローゲン無敵艦隊提督が対峙していた。
「ローゲン帝国皇帝陛下の密命でここへ来ました。我々は戦を望んではいません……」
「それならさっきのは何だ。危うく全滅させられるところだったぞ」
ヴェスヴィオスは疑り深い眼でネレイデを見た。正直言って、今回の戦闘は公国の敗北と言って良かった。兵力の半数が失われたのだ。命を救われたのもアルマダの情けにあやかったようなものである。
「条件は何だ」
「私は条件を提示するつもりはありません……ただ、戦うのを止めようというだけです」
ますます怪しい。帝国のことだから、何か裏があるに違いない。それに、ヴェスヴィオスは約束を破るつもりは無かった。
「悪いが、オレの戦いはまだ終わってはいない」
「トスキールを取り戻した今、これ以上何を望むのです?」
「全トグレアの解放」
帝国水兵の間にざわめきが広がる。
「オレはレヴォルトに、トグレアを救うと誓った。そうして命を救われたんだ」
「しかし、今回の事は全てレヴォルトの人間からもたらされた情報によって起こったのですよ?」
「それでも、レヴォルトはオレたちを助けに来た。レヴォルトがネーズル軍を連れて来たおかげでオレたちはまた救われたんだ。その彼らを裏切るわけにはいかない」
「そうですか……」
交渉は決裂した。ネレイデは立ち上がって一礼し、言った。
「フューラーシャフト……我々の参謀組織ですが、彼らが皇室の意向を無視して独断専行を続けています。占領したネーズルの地で良からぬ事を企んでいるようなので、気を付けて下さい。我々も出来る限りの事はさせていただきます」
「何故そのような情報を?」
「我々は今戦っている場合ではないのです。南大陸が勢力を伸ばしています」
ネレイデは溜息をついて言った。
「今私たちだけで講和を結んだとしても、フューラーシャフトを止める事は出来ないでしょう。……それでは」

迎えに来た空中砲台の上で、マグニサイドは報告を受けていた。気味の悪い事に満面の笑みをたたえている。
「なるほど、こいつらがアルサイドが言ってた化け物か」
ゴンドラの下に、何人かの人間らしきものが吊るされていた。全員意識を失っているようだ。
「ゲハイムニス計画の方はどうなっている?」
「最終段階に入りました。しかし、どうにも起動の障害となっているものがあるようで……それさえ掴めれば」
「ふむ……奴らが気付くまでに間に合えば良い。楽しみだな、どの程度の力を持っているのか」
吊るされた者たちを眺める。一人が眼をゆっくり開き、マグニサイドを睨んだ。
「気に入らんな、眼を塞いでおけ」


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あきゅろす。
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