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War Chronicle of Toskiel(紺碧の空)完
:再会
“ケンヲオサメヨ。コウショウヲノゾム”
ローゲン海軍の旗艦、メガロドルカス・マジェスタスが信号旗を掲げる。その左右にも二隻の巨大戦艦が展開していた。
「信じてくれると良いんだが……いや、ラインハルト様なら大丈夫だ」
メガロドルカス級四番艦、ソムニウムの艦長が呟く。前方のトスキール艦隊は、ややあって返答をよこした。
“コウショウニオウズル”
同時に小さな連絡船がラインハルト艦隊の旗艦から降ろされ、こちらへと向かってきた。マジェスタスから縄梯子が投げ下ろされる。ソムニウムとギガンテスはゆっくりと中央に舵を取り、マジェスタスに横付けした。
「交渉、とはどういう事だ」
「私たちはローゲン帝国皇帝の命を受けてここに参りました。あなた方と戦うためではありません」
「つまり、休戦条約を結ぼうと言うのか」
ラインハルトは笑った。
「ローゲンの皇帝は今更何を言い出すんだ。悪いが、俺様にそれに関する決定権はない。公王様に聞いてくれや」
「公王陛下は今どこに!?」
その顔を見た途端、海将は一瞬固まり、目を何度か瞬きした。
「お、お前、アイグレットじゃないか!」
「そうです。ラインハルト様、私は帰って参りました」

その頃、コスク近郊、ザスニッツ。反帝国組織・レヴォルトが集結していた。首領であるハイビンダーは、怒りをあらわにしている。銃を構えながら、彼は言った。
「この中に帝国軍の内通者がいる」
彼の声には聞くだけで人の決心を揺るがす力があった。勿論、恐怖によってである。
「今すぐ名乗り出ろ。そうすれば命は助けてやる」
と言いつつも、ハイビンダーは一人を凝視していた。そう、彼にも大体の予想はついていたのだ。
「ああ、そうだ。俺だよ」
「ズヘニグ、貴様、善良なラフドール人だとか言いやがって」
ハイビンダーは安堵したように肩を降ろすと、銃を降ろした。
「名乗り出てくれて良かった。俺も無意味に人を殺したくはないからな……おい、こいつを縛っておけ」
頭領は部下達のもとに向き直った。
「お前ら! 俺たちの失敗で、今トスキールが危険にさらされている。帝国に計画が漏れているのだ。あいつを助けるのは癪に触るが、俺たちのせいで帝国に勝利を与えるわけにはいかない。トスキールを援護しに行くぞ!」
「おう!」
レヴォルトはズヘニグを監視する部隊を置いて、コスクに向けて前進を開始した。とはいえ、若干千名の部隊が帝国軍相手に何が出来る訳でもないであろうが。


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