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War Chronicle of Toskiel(紺碧の空)完
:布告
「やっちまったな」
「行ってしまった」
「どうするんです?」
使者はとうにコスクを去り、ただ四人だけが会議室に残されていた。
「アルバート、これからコスク中の人を集めてくれ」
「承知致しました」
「それから、そこでオレが言う事を全国に公布しろ」
「了解!」
「さて、何をおっ始める気だ……?」
それから数時間後。
再びコスク城内は人々で埋め尽くされ、大臣、書記その他が席を連ねた。どうやら、開戦の噂はまだ広がっていないらしい。
「えー、国民の皆さん」
ヴェスヴィオスが口を開いた。
「まずい事に、戦をするはめになってしまいました!」
(おまえがやったんだろがっ)
「オレたちは、可能な限りこの地を死守する。でも、国民の保護が最優先だ。だから、戦いたくない人、ここにいたくない人は逃げてくれ。今のうちだから……」
静寂。国民は全員ストレートパンチを食らったようだった。なによりも、公王のこのような姿を見た事がなかったのだ。
「帝国の連中はこんなに早く戦になるとは思ってないはずだから、後何日かは何も来ない。海軍の船を総動員するから、とにかく、無駄死にはするな」
(こいつ、こんな事を考えていたのか……)
アルバートも、心底驚愕していた。確かに、帝国の監視の目が入る前では、多くの人民が逃げ仰せるに違いない。
(しかし、トスキールの民がそうホイホイ逃げ出すだろうか?)
元々この国は国民性として自尊心が高く、戦わずして逃げる事などもってのほかなのだ。
「俺はヴェスヴィオス様に従うぞ!」
誰かが叫んだ。
「あんな奴らに降参してたまるかよ!」
「そうだ! 逃げ出したりなんかしないぞ」
国民は沸き返っていた。先ほどまでのショックは消え、誰もが闘志を目に滾らせている。
(まさか……これが狙い……?)
ナイファーはヴェスヴィオスを見た。しかし、公王は全くそのような素振りを見せない。
(まさか……な)


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