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War Chronicle of Toskiel(紺碧の空)完
:皇帝
白と黒の花が咲き乱れる中に、その宮殿はあった。一見すると聖堂のようだが、これは皇帝の意趣だ。
「フューラーシャフトの動きは掴めたか」
「陛下、トスキールが上陸に成功したようです。それを受けて、マグニサイドが前線に出るとか」
「……これで、講和を結ぶ術は無くなったな。全く、何故彼らがトルカセニレに居るうちにもっと積極的に交渉をしなかったのだ」
老帝は骨ばった手を握りしめると、彼のこれ以上皺の入りようが無い顔をしかめた。
「使者は全て無視されたようです。あるいは、シャフトの妨害を受けたか……」
「奴らめ、単なる参謀組織に過ぎないものを」
水を張った庭園に生える黒林檎の熟れすぎた実が、枝から見放され大きな水音を立てる。
「しかし、カリギュラが左遷されてしまっては手の打ちようが無いな。我々は新たな“手”を得る必要がある」
「陛下、しかしながら、陸軍はほぼシャフトの手の内にあると言っても過言ではありません」
「陸軍は、な」
皇帝の今まで唯一皺の入っていなかった口元が緩んだ。


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