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War Chronicle of Toskiel(紺碧の空)完
:拠点
レヴォルトが用意してくれた拠点は、地下に広がる古代遺跡だった。金属質の錆びきった外壁に、幾多の理解できない模様が刻まれている。苔の蔓延る遺跡の中はかつて純白であったらしく、所々にその面影が残る。
「初めて来たけど、結構妙な所だよな」
「そうですね」
ヴェスヴィオスは不思議な感覚を覚えていた。まるでこの世の場所ではないかのようだ。
「アルバートか兄さんがいれば、きっと全部説明してくれたんだろうな……」
フェルドランスは公王の気持ちを察したのか、話を逸らす。
「古代遺跡とは、なかなか良い物件ですよ。ここなら大軍を隠しても敵に気付かれませんし、文字通り防御は鉄壁です。陛下、これはいけますよ」
「そうだな」
というようなプラス思考ができるのも、フェルドランスの長所である。正直言って戦略的な地理条件は最悪、防御性に優れる反面入り口が狭いので出撃にも時間がかかりおおよそ侵略拠点とは言い難いものであった。
「一週間後の決戦に備えて休息を取るよう兵に伝えておけ……そうだ、あの件はどうなった」
「はい、レヴォルトの方から返答がありました。引き受けてくれるそうです」
「良かった。これで我々の勝利は決まったようなものだな」


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あきゅろす。
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