War Chronicle of Toskiel(紺碧の空)完 :終息 小舟を飛び降りて姉の無事を確認するが速いか、その男は殺意を覚えたようだった。 「誰だ、お前は」 長銃を突きつけられたアイグレットであったが、すぐその間にネレイデが入った。 「やめなさいネストル! 彼を殺してはならない」 「姉さん、こいつはトスキールの人間だよ!」 「そんなこと関係ないわ」 「でも、こいつは敵だ! 僕らの仲間を殺した奴だ!」 「関係ないって言ってるでしょう!?」 ネレイデはネストルを突き飛ばした。 「じょ、上官命令よ。彼を保護して、帝国へ帰還するわ」 「……了解しました」 小さなランチに彼らは乗り込み、母船へと向かった。アイグレットにはどうすることも出来なかった。この後どうなるのかも想像がつかなかった。帝国へ行く? 僕はこの司令に気に入られたんだろうか? もしかして、公国と、ラインハルト様と戦うことになるのだろうか。だが、今はとにかく静かに従うことが重要であるように思われた。夜の闇の中に、メガロドルカス級の巨大な影が浮かび上がっていた。 「やはり失敗したか」 ジェノサイドは笑った。それにつられて、何人かも失笑する。 「ノメイルの部隊は予想外だった。あれを押さえておくのは東方諜報部の役目ではないのか」 マグニサイドが必死に反論するが、誰も耳を貸してはいない。 「まぁ、貴様の過失があるのも事実だ。その上」 アルサイドが追求しようとするのをジェノサイドが制した。 「計画はどうなっている」 「第二段階に移りました」 「そうか、それさえ成功すれば君を処分することはない」 マグニサイドは深々と頭を下げた。 「諸君、やはり皇帝をこのまま無視しておくわけにはいかない。一時的に停戦状態に持ち込み、その間に計画を実行段階まで推し進める。ひとまずは占領したトスキールの植民地政策に集中するとしよう」 こうして第四次トグレア戦役は膠着。この後三年間、両国はそれぞれの国策に専念することになる。 [*前へ] [戻る] |