War Chronicle of Toskiel(紺碧の空)完 :漂着 「ここは……」 視界いっぱいの夕日。砂浜に打ち寄せる波。美しい景色だった。 「いったい……一体、何があったんだ?」 隣に、もう一人、女性が横たわっていた。どこかで見覚えがあるが……。 「いったい……」 様々な記憶がフラッシュバックする。閃光。爆音。熱風。硝煙の匂い……そう、自分は艦長として、艦隊戦をしていた。敵の船に乗り込み、敵の総大将と斬り合いをしていたはずだ。 「うっ」 隣の女が身を起こした。そのまましばらく虚空を見つめ、手で額を押さえ、何かを呟いた。 「お前は……!」 何もかも思い出した。横たわっているこの女こそ、敵の提督だ。トスキールの船を何隻も沈めた女だ。先ほどまで殺し合っていた女だ。 「う、動くな!」 砂にまみれた剣の矛先を向ける。ネレイデは、抵抗しようともせず、沈み行く太陽を凝視していた。 「美しいと、思わないか」 海面に、光が反射し、所々に残骸が浮かんでいた。 [次へ#] [戻る] |