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War Chronicle of Toskiel(紺碧の空)完
:追撃
ここで、少し時間を遡る。海戦から一週間。新たにディンラック地方の州都となったコスクで、無敵艦隊が改装工事を行っていた。四角帆の艤装が降ろされ、ラティーン・セイルが取り付けられているのだ。
「一週間後には、第二艦隊が到着するそうです」
「わざわざネストルを呼ぶ羽目になるとはね……」
ネレイデは肘をついて湾を眺め、大きな溜息を漏らした。後ろでカリギュラが鼻を鳴らす。
「信じられん。奴らは何もかも見通していたかのようだ……ノット鉱山の採掘施設も既に爆破されていたという話だ」
カリギュラとしては、これは居ても立ってもいられない事態であった。大軍を投入してロクな戦果も無く、指揮官としての資質が疑問視され始めていたのだ。
(我々はただ、フューラーシャフトの指令通りに動いていただけであるというのに)
彼はグラスを強く握りしめた。ここで砕け散ると格好が良いのだが、彼にそんな力は無い。その時、レヴァリーが部屋に入ってきた。
「シャフトの方から連絡が入りました。“トスキールジンヲイカシテオイテハナラヌ”だそうです。戦力は幾らでも割いてくれるそうですが」
「これで負けたら我々は終わりだな」
「そうね」
彼らを蔑むかのように、シロガラスたちが啼き喚いていた。

冬がやって来た。アイフェル渓谷は大雪に埋まり、コルトの町の家並も白く輝いていた。トルカセニレの北端に今年最初の流氷が流れて来たというニュースが新聞の二面に載る頃、ローゲン帝国無敵艦隊は動き出した――――前回の教訓により、ラティーンセイルを装備して。また、上空には空中砲台の大部隊が無数に散開しており、それぞれに10ウェル近くもの爆弾を抱え込んでいた。フューラーシャフトの工作員の情報をもとに決定された目的地は、エズス諸島。


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あきゅろす。
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