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War Chronicle of Toskiel(紺碧の空)完
:会合
薄暗く、巨大なホール。天井に細く切り込みのように入った窓以外から、光は入らない。その不釣り合いなほど広い大講堂の中央に、長いテーブルがあった。
「大いなる計画は、阻まれた」
そのテーブルの一辺を占領した男が言った。その横には男たちが席を連ね、彼らは頭に重厚な鎧兜を着け、その表情を窺い知ることは出来なかった。
「待ちたまえ」
大きな扉をゆっくりと開き、一人の新しい男が入ってきた。彼はゆっくりと歩いて、先程の男の反対側の辺に座った。
「マグニサイド、今頃になってやってきたのか」
「そうだ。お前は失敗した。トスキールはいずれ反撃してくるだろう」
「南大陸の連中の脅威が増しているというのに、北大陸すら統一できないようでは奴らに隙を見せることになる」
「ズヘニグを失ったのは痛かった。彼の存在は今後に大きく貢献するはずであった」
マグニサイドと呼ばれた男は片手を上げ、ざわめきを鎮めた。
「私は、新たな情報を持ってここへ来たのだ」
彼の声はホールに響いた。
「何が新しい情報だ、大方ノメイルでは何を食っているかとかいう下らないことだろう? 皇帝付近が近頃停戦についてうるさい。今は内を固める時だ」
「ジェノサイド殿、貴方は我々が、あの“フューラーシャフト”であるということを忘れている。皇帝の言葉など、我々の前では無意味だ。それより、例の計画が進展した」
「ゲハイムニス計画か? まさか、奴の居場所を突き止めたというのか」
「ああ、勿論だ。あのズヘニグが見事に見つけ出してくれた。問題は、トスキール公国のあの公王だ。奴は剣術に長け、機転も利く。何より、人を動かす力がある。奴は今までそれを隠し続けてきたのだ……奴の兄は計画に勘付いていたが、弟に打ち明けていたかもしれん」
フューラーシャフトは再びざわめいた。今度はジェノサイドが片手を上げ、場を鎮めた。
「マグニサイドよ、トスキールを滅せよ。計画が最終段階に入るまで、何者の邪魔もさせてはならん」
「御意。しかし、奴らの軍師は有能であり、その上」
「言いたい事は解っている。好きなだけ戦力を割くがいい」
「御意」
マグニサイドは一礼すると、本部から立ち去った。


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