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War Chronicle of Toskiel(紺碧の空)完
:敗走
トスキール・ネーズル連合軍は三日間北上し続け、国境線を越えた。ケレントタストン地方へ辿り着いたのである。兵士たちは、オスト川で渇きを癒した。トスキールの広い草原地帯とは打って変わって鬱蒼とした森が広がり、公国軍は他国へ来たことを実感するとともに、祖国への哀愁が漂い始めていた。
「エアフォルク将軍、あれは何ですか」
フェルドランスはネーズル国境合同部隊の将軍に尋ねた。
「ほ、お若い方は好奇心が旺盛でよろしいですな。あれはプーグ・ジン。トスキール語で言えば、エリマキザル、ですかな?」
木々の上を走り抜けては、黄緑やらオレンジの襟を広げている様は花が駆けているようであった。
「しかし、どう致しますか。今のところはドールに向かっておりますが、あそこには基地があるわけでもなんでもありません。あなた方の友軍の安否もお知りになりたいでしょうし、最終的にはボレイゲンの港に行くべきでしょう」
エアフォルクは言うが、このままトスキールから離れてしまってもいいのだろうか、という風潮が公国軍にはあった。二度と故郷に戻れないのではないかという恐怖である。
「こんな時に、公王陛下がいればね」
若き将軍は一人呟いた。


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あきゅろす。
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