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War Chronicle of Toskiel(紺碧の空)完
:撤収
だが、まだ危機を脱していない部隊がいた。未だにコスク上空をうろついている。
「だめだ、北風が強すぎる」
“アプゾルート”はだんだんと南へ流されていた。構造はほとんど只の気球なので、ろくな推進手段がないのだ。
「どうする?」
「あれを見ろ!」
ルフトツークの指差す方を見ると、上空に数十頭のソラクジラが回遊していた。
袋状の体にガスを溜め込み、空中を漂っているのだ。彼らは、北に向かっている。
「上の気流は違うぞ。燃料棒を入れろ! 全力上昇だ」
ベーオウルフが結わえられていたロープを解くと、燃料棒が音を立ててHCL水に落ち、大量にガスが発生した。浮力を得た空中砲台は身震いして空へと上り、先ほどとは逆方向に押し流されてゆく。非常に不安定ながら、アプゾルートは戦域を離脱した。


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あきゅろす。
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