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War Chronicle of Toskiel(紺碧の空)完
:神風
一方、ラストロストリウスの船上では歓声が上がっていた。
「南風だ! 全艦回頭、ネーズルを目指せ!」
「艦長! 前方に無敵艦隊が展開しています」
「知ってるよ! ごちゃごちゃ言わずに強硬突破だ」
トスキールの避難船団は再び進路を変え、敵艦に向けて突進した。驚いたのはアルマダである。
「行け、行け、行け!」
帝国艦が主砲に弾を込める間もなく、公国艦はその横を飛ぶように過ぎた。風に乗ったラティーン・セイルは船に驚異的な推力を与え、無敵艦隊がようやく向きを変えた頃には、たっぷり一海里は離れていた。
「よくやったな、レオナルド」
「そりゃあ勿論、約束は果たすまででさ」
トスキール海軍の士気は今までになく上がっていた。一時間もすると帝国艦は影も形も見えなくなり、作戦は見事に成功したのである。海流に逆行していたものの航海は順調に進み、人々は安堵した。各艦上では持って来た酒で酒宴が執り行なわれ、皆おおいに飲みかつ歌ったが、誰も船団の行く先は知らなかった。

「十一時の方向に船団を確認」
「よく見えんな……」
一隻のガレオン船が大洋を航行していた。さて、あの船団はどこの所属だろうか。帝国ではない事を祈る。
「あれは……ラティーン・セイルです! トスキールの船ですよ!」
「おお、間に合ったか」
アルバート・ナイファーはほっと胸を撫で下ろした。全く、ネーズルでは無駄足を食ったものだ。
「信号旗を揚げてくれ。迎えに来たと」
緑、青、十字。望遠鏡で覗くと、向こうの船団も信号旗を揚げていた。
「お帰りなさい、だそうだ」
しばらくして外交船と船団の旗艦は接舷し、互いの無事を祝った。


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あきゅろす。
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