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War Chronicle of Toskiel(紺碧の空)完
:使節
帝国の使者がやってきたのである。
使者の名はカリギュラと言う。カラズ・ランドセスに現れた使者はそのまま首都のコスクまで招待され、丁重なもてなしのもとに会議が始まった。
そもそも、トスキール公国は人口十万に満たない小国であり、ローゲン帝国との対等な対話などは望むべくもなかった。
「さて、今回私がここに訪れたのは、皆様と戦をするためではありません。平和的に併合を進めるためです」
使者はおもむろに話し始めた。
「我々に抵抗した者たちがどうなったかは皆様もよく知る所と思います。ですから、愚かなまねはしないように」
(小国と思ってなめおって……)
大臣たちは怒りを隠しきれない様子だ。
「皇帝様はコスクの開城、公国政府の再編成、ノット鉱山の直轄統治、軍の解体を命ぜられました」
(なにが和平交渉だ……敗戦条約と何も変わらないじゃないか!)
「ちなみに、この地方は西トグレア方面軍司令の私の管轄となります」
「つまり、命だけは保証するから荷物をまとめて出て行けというわけですね」
「言い換えれば、その通りです」
使者は、長い巻物を取り出した。
「この条約を批准すれば、我が軍が貴国の民を傷つけることはありません」
「わかった……」
ナイファーは立ち上がると、ほとんど上の空の公王の前にひざまづいた。
「陛下、もはやこれまでに御座います」
「否!」
ヴェスヴィオスは突如として椅子を蹴り倒した。


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あきゅろす。
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