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War Chronicle of Toskiel(紺碧の空)完
:打開
一方、ネーズル王国、ボレイゲン特設外部対応庁。未だに、アルバート・ナイファーとズヘニグの戦いが続いていた。
「ですから、何度も言うように無理な物は無理なのです」
「なぜですか!? 今にも我が国の民は死んでいるのです!」
「なりません」
ナイファーが諦めかけたその時だった。
扉が勢いよく壁に叩き付けられ、衛兵が姿を現した。その中から一人の男が歩み出る。
「ズヘニグ。お前は帝国の人間だろう!」
「お前を拘束する」
衛兵長が証書を掲げた。ズヘニグは妙な汗を流して目を見開いている。ナイファーも驚愕した。
「あんた、帝国の……! なるほど、だからあんな対応をしていたのか」
観念したズヘニグをよそに、男がさらに進み出て口を開いた。
「アルバート・ナイファー殿、元ノメール方面担当外交官のオドグ・ファスです。今は特別に臨時外交長官をしています」
やっと、本物の外交官に会う事が出来たのである。

「突撃!」
トスキール陸軍は進行方向を大きく転換し、背後の敵に向かって驀進した。敵はまだ包囲線を形成するには至らず、いくつかの部隊が点在していた。
「コ型陣形で前進! 敵部隊を各個撃破せよ」
「将軍!」
「何ですか! ベラドンナさん!」
「我ら騎士隊に先鋒を務めさせて下さい。お願いします!」
「良いだろう。行けぇ!」
「ハッ……騎士隊、続け! 今こそ汚名を晴らすチャンスだ」
矢の如く騎士達が敵の先陣を蹂躙し、突破口を作った。混乱した帝国兵は三方を囲まれ、それぞれ包囲殲滅されてゆく。そのとき、何羽もの兎がもんどりうって倒れた。ローゲンの銃兵部隊が姿を現したのである。
「お……お前たち! 物陰に隠れろ、こんなところで死ぬな!」
弾幕が騎士隊の行く手を遮り、再びトスキール軍の退路は断たれた。その間にも、包囲の輪は厚くなってゆく。


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あきゅろす。
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