War Chronicle of Toskiel(紺碧の空)完 :戦艦 「前方、敵三等巡洋艦、六!」 「このメガロドルカス級に、あんな小舟で挑もうというのか!?」 ネレイデはむしろ驚愕していた。てっきり、今回は戦うまでもなく向こうが降伏して終わると思っていたのだ。 「一等戦艦と呼んでやりな! あれが彼らの最大の船だ」 「信号旗です」 小さな戦艦のメインマストの先に、色とりどりの旗が揚がった。 『我ハ旗艦“ヴァイスハイト”ナリ。貴艦ニ決闘ヲ申シ込ム』 「どうします、返答しますか」 「こう伝えろ。我はメガルドルカス・ボレアリス艦長ネレイデ・シュネーヴァイスである。決闘を受けよう!」 巨大な戦艦がゆっくりと向きを変え、ヴァイスハイト号と対峙した。 「右舷砲門発射用意! 合図とともに一斉射撃」 小型船の命運は尽きたかに思われた。 「敵艦、回頭しました!」 「ヤバいですよ……マジで来ます!」 「狼狽えるな! 右舷砲門発砲用意、各員衝撃に備えよ!」 アイグレットには策があった。いくら巨艦と言えども、ゼロ距離射撃なら腹をぶち抜く事ができなくはないはずだ。 (我々がここで足止めしておかなければ……) ほかの五隻も、それぞれ帝国艦を相手に戦闘準備を整えている。 「微速前進!」 「微速前進ヨーソロォ!」 [次へ#] [戻る] |