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War Chronicle of Toskiel(紺碧の空)完
:巨船
ある小さな漁船がロック諸島近海を航行していると、霧の中から巨大な影が現れた。
「なんじゃあ、ありゃあ?」
老人の船を押さえ付けるような航路をとったそれは、どうやら戦闘艦らしかった。あまりに大きく老人には壁のようにしか見えない。何か外国語で言っているようだったが、内容は見当もつかなかった。
「あん?なんだって? ワシゃトスキールのしがない漁師じゃ!」
その瞬間、壁の中から赤い閃光が瞬き、音速の弾丸が漁船を直撃した。粉々になった残骸を踏みつけるようにその船は黒い水面を滑り、霧の中へ消えた。

神暦千九年十月二十八日。トルスに空中砲台の姿はなかった。
「まさかお前が攻撃しようとした町が四年に一度の花火大会だったなどと知る由もなかろう」
「あんた、本当は、知っていたんじゃないのか」
「まだ言うか、ルフトツーク。お前は更迭だ。顔を洗って出直してこい」
仲間を失った青年は、うなだれながら城を後にした。
「少し、可哀想だったんじゃないですかね」
「今の奴の姿を参謀本部が見れば、我々の評価も変わるだろうさ」
「ならば、援軍が来るかもしれないですね。例えば、アルマダとか」
「フューラーシャフトの参謀どもがそう簡単に動くかね」


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