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War Chronicle of Toskiel(紺碧の空)完
:驚愕
ローゲン艦隊は、眼前に広がる光輪に戦慄した。船体に火の粉が降り注ぐ。
「バカな! こんな所に対空砲があるというのか!」
「違います……あれは、花火です!」
「くそっ、全弾投下、急速上昇!」
遅すぎた。先駆けの砲台に火の粉が引火し、大爆発を起こす。
「アプヴェール、爆沈……!」
「なぜ反撃せんのだ!」
「硝煙で信号旗が見えません」
花火はまだまだ咲き続ける。地上の住民たちが、異常に気づき始めた。
「なんだ、ありゃあ?」
「まさか、帝国軍の攻撃じゃないか?」
爆弾が一発神殿に命中すると、事態は急変した。観客は蜘蛛の子を散らすように逃げ出し、大混乱となった。
「これ以上は無理です、ここもやられます!」
「まだだ……なんとしてもフィナーレまでやり遂げるんだ」
巨大な花火がいくつも炸裂する。二つ目の空中砲台が畑に墜落した。
「アプヴルフ、轟沈」
「アプファンゲン被弾! 助けを求めています」
ルフトツークは息ができなかった。自分が大切に育ててきた部隊が次々と全滅してゆく。気付けば、艦隊はアプフォイエルン、アプシュネレン、旗艦のアプゾルートを残すのみとなっていた。
「隊長、撤退命令を!」
「……僕は、僕は……」
爆弾を投下し終えた船体は軽くなり、上空の雲の中へと消えて行った。


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