War Chronicle of Toskiel(紺碧の空)完 :祭典 ローバスルにも夜の帳が降りてきて、住民たちはお祭り騒ぎだった。 「そろそろ始まります」 「宰相殿! 伝令兵です」 「何だね? 通せ」 「宰相殿! 公王陛下! 見た事もない巨大なものが上空からこちらに接近してきます!」 「何!?」 「く……空中砲台か! 皆のもの、花火大会は中止だ!」 「いや、待て!」 「陛下! いったい何を?」 「花火大会は続行しろ! 何があっても、中止してはならぬ」 ヴェスヴィオスは不敵な笑みを浮かべていた。 「間もなく町の直上です」 「各艦高度100まで降下! 爆弾投下後、上空で待機せよ」 眼下の町はとても明るかった。格好の標的である。ルフトツークは満面の笑みを浮かべ、言った。 「投下! 味方艦の上に落とすなよ!」 「投下、ヨーソロ!」 町の隣の森が炎に包まれた。焼夷弾があたりに炎をまき散らし、全てを焼き尽くしてゆく。町外れのベンチに二人の老婆が座っていた。 「今年はずいぶん派手な演出ですねえ」 「そうね、アンネばあさん」 その時、花火大会が始まった。 [*前へ][次へ#] [戻る] |