War Chronicle of Toskiel(紺碧の空)完 :策謀 「そうか……」 ヴェスヴィオスはそっと立ち上がると、パイクスタッフをまじまじと眺めた。 「ところで、ラインハルトの艦隊の様子はどうだ?」 「は?」 「諸君。言うのを忘れていたが、今このコスクは敵の艦隊の包囲網の中にいる。こちらが後一時間以内に降伏しない場合は、無差別艦砲射撃を決行するそうだ」 「そんな……!」 ベーオウルフは明らかに動揺している。 「陛下、降伏するつもりは……」 「ない」 「畜生……ありえない! バイデクルト軍港からは少なくとも二週間はかかるのに、奴ら、初めからこの俺もろとも消し去るつもりだったのか! 奴らの戦列艦隊はこの都市を完全に焼き払う能力を持っている。俺も、貴様も終わりだ!」 「だそうだ。聞いたか?レオナルド」 「なっ!?」 「あ、すんません……寝坊したもんで」 「貴様、謀ったな!!」 ベーオウルフは剣を抜くと、公王に向かって斬りかかった。ヴェスヴィオスも長剣を構え、刃を受け止める。 「覚悟!」 騎士隊も抜刀した。フェルドランスがそこへ切り込む。 「ははははは! 騎士隊とて、兎を降りればただの雑兵だな」 激しい戦いが始まった。ナイファーは何もできず、部屋の隅にうずくまっているしかない。 (つ、強い!) ヴェスヴィオスは一振りで騎士を数人薙ぎ払うと、叫んだ。 「剣士隊、入れ!」 [*前へ][次へ#] [戻る] |