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War Chronicle of Toskiel(紺碧の空)完
:背信
トスキールの首都たるコスクでは、港が諸国へ向かう船で埋め尽くされていた。着々と疎開が進んでいたのである。
「だが……」
定例閣議で、ナイファーは言った。
「地方都市では危機感が薄く、十分な疎開がなされていません。あるいは、事態を重く見すぎて死ぬなら故郷で死にたいと言って頑として動かない連中もいます」
「そんなの、無理矢理引っ張ってくれば良かったのに」
「陛下、そんなわけにはいかないんですよ」
「まあ、今はとにかくフェルドランスの戦功を讃えようよ」
「有り難う御座います」
「あれ? そういえば、レオナルドは?」
「難民の整理でもしてるんじゃないでしょうか」
その時、閣議室の扉が勢いよく開いた。数十人の騎士隊がなだれ込んでくる。
「何事だ!」
「陛下、裏切り者を確保しました」
騎士隊長のベーオウルフが前に出た。後ろで縛られているのは……
「パイクスタッフじゃないか!」
「お前……」
「こいつが、全て吐きましたよ」
「そ……そうなのか?」
パイクスタッフはうつむいたまま喋らない。しかし,騎兵がわきを小突くと、ゆっくりと口を開いた。
「陛下……陛下、私がやりました。私がスパイをしていたのです」


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