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War Chronicle of Toskiel(紺碧の空)完
:漂着
 水柱が高々と天を突き、それと同時に爆心の木造船が消えてなくなるのをアルマダ第二艦隊提督ネストル・シュネーヴァイスは目撃した。彼の叫び声も、爆音にかき消された。
「姉さん!」
気の小さい弟は手すりから身を乗り出して水面を凝視した。たくさんの水兵が助けを求めてもがき泳いでいるが、ネレイデの姿は無い。
「戦闘を中断しろ! 姉さんを捜索、発見次第保護しろ!」
「了解しまし……やめてくれっ!」
指示を下すべき副官は乗り込んで来た公国兵に海中へ突き落とされてしまった。

「ここは……」
 視界いっぱいの夕日、砂浜に打ち寄せる波。美しい景色だった。
「いったい……一体、何があったんだ?」
隣に、もう一人、女性が横たわっていることにアイグレットは気付いた。どこかで見覚えがあるが……。
「いったい……」
様々な記憶がフラッシュバックする。閃光。爆音。熱風。硝煙の匂い……そう、自分は艦長として、艦隊戦をしていた。敵の船に乗り込み、敵の総大将と斬り合いをしていたはずだ。
「うっ」
隣の女が身を起こした。そのまましばらく虚空を見つめ、額を手で押さえ、何かを呟いた。
「お前は……!」
何もかも思い出した。横たわっているこの女こそ、敵の提督だ。トスキールの船を何隻も沈めた女だ。つい先ほどまで殺し合っていた女だ。アイグレットは意を決した。
「う、動くな!」
砂にまみれた剣の矛先を向ける。ネレイデは、抵抗しようともせず、沈み行く太陽を眺めていた。
「美しいと、思わないか?」
海面に、柔らかい光が反射し、所々に残骸が浮かんでいた。


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あきゅろす。
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